2007年11月12日月曜日

知的障害とはVOL5

大分古い資料になってしまいますが、1989年に精神薄弱者能力開発専門家会議が知的障害者の職場定着の阻害要因をまとめています。その報告によると、

本人の要因として
・仕事への持続性が弱い
・結果への関心が薄い。間違いに気づかない。質問しないで失敗する。
・規則への関心が薄く、理解ができないで見逃す。
・友人がいないので、職場がつまらない
・なれるにつれて甘え、仕事と私用の区別ができない
・注意されると反発や気に病む
・基礎体力に欠ける
・収入を得てもそれが勤労意欲に結びつかない
などがあげられています。当然個人差はありますが、傾向としては当たっています。

企業の要因
・障害や作業能力の特性に理解がない
・作業をやらせても細かく指導しない
・作業分析をしないで、作業の与え方に問題がある
・レクリエーション等の行事に参加させない
・労働条件に問題(不当な低給、昇給なし、残業の連続等)
・安全性に問題。施設や設備が扱いづらい
・単純作業の繰り返しで能力向上に配慮がない

家庭の要因
・経済生活への指導がない。収入を得る意味を理解できないために働く意欲をなくす
・通勤経路や時間に大きな変化が生じる
・本人に対する過大な要求(低給だから退職させる)
・過保護的な態度が問題となる
・家庭に適切な指導者がいない

約20年経過した今も、基本的にはずれていない見解だと思われます。ですからこの要因への対応を考えることが知的障害者の職場定着支援には必要ということになります。